その後の延礽君(ヨニングン)はイバラの道を歩んだ!?(1)
2014/05/04
[ad#300-250]トンイの放送が終わり喪失感を感じている方もいるのではないかと思います。
そこで、今回は「その後の延礽君(ヨニングン:연잉군)」ということで、英祖(ヨンジョ:영조)になるまでの歴史を紹介していきます。彼はあまりにも壮絶なイバラの道を歩むことになります。
もしこの数年間をドラマ化すると「トンイのエンディンってなんだったの?」と、さらに粛宗(スクチョン:숙종)を嫌いになることでしょう(汗)
粛宗(スクチョン:숙종)の罠
1716年の丙申処分(ピョンシンチョブン:병신처분)でかつて老論(ノロン:노론)と少論(ソロン:소론)が分裂する契機となったイデオロギー闘争・懐尼是非(フェニシビ:회니시비)の評価を行い、粛宗は老論を是、少論を非としました。これにより老論の権力はより強固なものになりました。
続いて、前回、「粛宗芝居説」で1717年に、後継者を変える算段で老論の左議政(チャイジョン:좌의정)李頤命(イ・イミョン:이이명)と丁酉独対(チョンユドクテ:정유독대)という単独面会を行なったと紹介しましたが、この2つのことからもわかるように、粛宗の晩年は老論へと傾いています。
この密談を機に粛宗は世子・昀(ユン:윤)に自分の代わりに政治を取り仕切る代理聴政(テリチョンジョン:대리청정)を行わせます。世子・昀を認めてというわけではなく、何か失敗をした時にはそれを口実に世子・昀を廃し、延礽君(ヨニングン)または延齢君(ヨルリョングン:연령군)を世子にする腹づもりでした。
けれど、世子・昀は政権党の老論の助言通りに政治を行ったため、特に失敗することもなく淡々と政務をこなしました。
そして、1720年6月8日、トンイこと淑嬪崔氏(スクビンチェシ:숙빈최씨)の夫・粛宗(スクチョン:숙종)が身罷(みまか)ることで、予定通り世子・昀が即位します。彼が第20代景宗(キョンジョン:경종)です。33歳でのことでした。
ちなみに、粛宗は享年60歳。在位期間は45年10ヶ月と歴代第2位の長さでした。さらにちなみに第1位は英祖の52年です。
景宗即位後
景宗が即位しても朝廷のパワーバランスは変わることなく、相変わらず老論(ノロン)が主流派で少論(ソロン)は少数派でした。
けれども、少論はかねてより一貫して景宗を支持してきたこともあり、自分たちが主流派になる機会を伺っていたし、実際に可能性が高まっていました。逆に老論は、弟の延礽君(ヨニングン)を推していたため、大きな危機感を抱いていました。
老論は景宗の王権を揺るがすことで、自分たちの保身を達成しようとしました。ついに老論は翌年の1721年8月に延礽君(ヨニングン)を世弟(セジェ:세제)にする暴挙に出たのです。
当時34歳で、後継者を設ける可能性が十二分にある景宗に対して世弟(セジェ)を決めるということは、反逆にも等しい行為でした。それだけ、老論の力が強力だったのです。
また、この件には大妃(テビ)となっていた仁元王后(イノンワンフ/イヌォンワンフ:인원왕후)も絡んでいました。彼女は粛宗の死後、少論から老論に鞍替えして延礽君(ヨニングン)の庇護者になっていました。
そのため、あっさりと諺文教旨(オンムンキョジ:언문교지)を出しなした。実は老論と共謀してこの話を進めていたのです。
この構図は粛宗の晩年あたりから、老論が進めていたものでした。ドラマ内でも第3代太宗(テジョン:태종)の実録を粛宗が見ていたのを覚えているでしょうか?
太宗は自らの強権と半ば王位を投げ出した父・太祖(テジョ:태조)の王統を兄・第2代定宗(チョンジョン:정종)に継がせ、自分は世弟となり、その後、禅譲により王位についたという経緯がありました。
このパターンで粛宗→景宗→延礽君(ヨニングン)と王位を継がせようとしたのです。もちろん景宗が世子のときに何かしらの失敗をしていれば粛宗→延礽君(ヨニングン)となっていました。
1721年10月、2ヶ月後の老論の上訴を契機に、延礽君(ヨニングン)の代理聴政、いわゆる世弟聴政(セジェチョンジョン:세제청정)を景宗があっさり認めました。
けれど、さすがに延礽君(ヨニングン)は兄王への不敬を理由に拒み、成均館(ソンギュングァン:성균관)の儒生たちも断固として反対しました。そのためこれは撤回されるのですが、このとき景宗は老論の奸臣に騙されたと言い出します。
このようなことが何度かあり老論も右往左往してしまったために、少論(ソロン)に格好の攻撃の機会を与えてしまいます。もともと若い王への代理聴政など不敬の極みである上に、それを二転三転させることで不敬を繰り返してしまったからです。
こうして少論による老論(ノロン)への最大の粛清・辛壬士禍(シニムサファ:신임사화)が起こるのです。
つづく!
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