妓生ソリに自由はなかった!
2013/11/17
[ad#300-250]トンイ(동이)の兄トンジュの恋人で妓女の雪姫(ソリ)。
設定では掌楽院(チャンアグォン:장악원)に出入りすることで2人は知り合ったことになっています。
セリフや行動から類推すると、かなり自由度があるように思えますが、実際の妓女(キニョ:기녀)の行動にはかなりの制約がありました。
掌楽院に出入りしていることから、ソリは高官などを相手にする妓女(キニョ)の最上位・一牌(イルペ:1패)と思われます。最上位といっても奴婢には違いありません。二牌・三牌となると性を提供するので、この差はそれなりのものです。
一牌(イルペ)の妓女は官妓(관기)なので、国家の管理下にあり妓籍(キジョク:기적)に登録されています。
ドラマ・トンイ内では、あたかも自由意志で義州(ウィジュ)に行っていますが、もし、この移動が正当なものだとしたら、これは明らかに業務命令です。自分の意志で妓房(キバン)を運営しているわけではありません。(おそらくこのような移動はありえなかった:後述)
後日漢陽(ハニャン)に戻ってきて検問にかかった際に「一旗揚げに」と言っていますが、そもそもそんな事はありえません。現代的に言えば国家公務員が店を出すようなものです。(ちょっと違いますが:笑)
一旗あげるとなると、年老いて引退し、退妓(テギ:퇴기)となり、私設の妓房(キバン)を営むこととなりますが、どうみてもまだ若いですよね!
ソリについては、実は詳細な設定がされていて、彼女は平壌妓女(ピョンヤンキニョ:평양기녀)なんです。トンイとケドラを漢陽から脱出させようとした際に、オ・ユンに呼び止められ「平壌行首オルンのお見舞いに・・・」と、とっさに言いましたが、これは師匠の見舞いという整合性のある嘘だったのです。
妓女には漢陽の京妓(キョンギ:경기)と、その他の 地方妓(チバンギ:지방기)があり、地方によりそれぞれ特色や有名な歌舞がありました。
- 安東妓(アンドンギ:안동기) 誦大學之道(スンデハクジド:송대학지도)
- 咸興妓(ハムンギ:함흥기) 誦出師表(スンチュルサッピョ:송출사표)
- 關東妓(クアンドンギ:관동기) 唱關東別曲(チャングァンドンビョルグク:창관동별곡)
- 義州妓(ウィジュギ:의주기) 馳馬舞劍(チマムゴム:치마무검)
- 濟州妓(チェジュギ:제주기) 走馬之技(チュマジギ:주마지기)
- 平壤妓(ピョンヤンギ:평양기) 唱關山戎馬詩(チャングァンサンユンマシ:창관산융마시)
- 北靑妓(プクチョンギ:북청기) 馳馬之技(チマジギ:치마지기)
- 永興妓(ヨンフンギ:영흥기) 唱龍飛御天敬(チャンヨンビオチョンガ:창용비어천가)
などです。
各地方の妓女には平壤妓(ピョンヤンギ)のように地方名が付けられており、そこで技の伝承が行われていることからも、ドラマ・トンイの設定のような各地方への転勤のような移動は無かったと思われます。
ちなみに、妓生(キーセン:기생)という言葉は朝鮮初期にはありませんでした。韓国時代劇の多くで妓生ではなく、妓女(キニョ)という言葉を使うので、この言葉を覚えておくとよいでしょう。
※ブログタイトルに妓生を使用したのは、日本人の検索傾向に沿ったものです。
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