音変(ウンピョン)とは? トンイ第5話 解説(あらすじ含む)
2013/03/25
[ad#300-250]ハン・ヒョジュ、チ・ジニ主演、イ・ソヨン、ペ・スビン、パク・ハソン出演の韓国時代劇トンイ(同伊:동이)の第5話の解説(あらすじ含む・ネタバレあり)です。
本格的にハン・ヒョジュとチ・ジニが登場しました。前フリが終わり物語も本題に入っていきます。
西人(ソイン:서인)V.S.南人(ナミン:남인)の構図で、南人が権力強化のために送り込んだチャン・オクチョンを、西人が音変(ウンピョン:음변)を起こし陥れます。
まず最初に言っておかなければならないのは、音変は完全なフィクションだということです。もちろん隕石もです。
チューニングが必要でない横笛などの楽器は、温度や湿度で微妙に音が変わることはありますが、大きく外れることがないのは、常識の範囲でわかると思います。
また、当代一の音楽家が集まっているところですので、あのようなことは起きようがないですね!
けれど、古来より音楽と国家運営には密接な関係がありました。ドラマ内でも『大国が滅んだ』と言っていましたが、実際にエピソードのもとになっている故事があります。
その前に、朝鮮における音楽のあり方について説明しておいたほうが良いでしょう。
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儒教の教典の五経に礼記(らいき)がありますが、その中に楽記(アッキ:악기)という編があります。これは楽のあり方について記述されているのですが、正直なところ内容が小難しくいまいち筋の通った理論でもありません。ですので詳細の説明は省きます。
ここで重要なのは礼について書かれている書に音楽に関することがまとめられていることです。儒教において楽は礼と同様に非常に重要なものであると認識して下さい。
また、東洋の思想では音律というのは宇宙の法則に基づいているとも捉えられています。そのために、祝賀の際には音楽が切っても切れないのです。
では、大妃の言っていた『大国が滅んだ』という故事と出典を紹介しましょう。
亡国之音(マングクジウム:망국지음)と言い、礼記楽記編にその記述があります。
『治世之音 安以樂 其政和, 亂世之音 怨以怒 其政乖, 亡國之音 哀以思 其民困』
『治世の音は安らかにして以て楽しめるは、其の政和らげばなり。乱世の音は怨みて以て怒れるは、其の政困しめばなり。声音の道と政とは通ずるなり』
要するに政治と音楽は密接に関係しており、音楽が良いと世は円滑であり、音楽が悪いと祭り事は困難を極めるということです。
また、韓非子(かんぴし)・十過篇には故事が紹介されています。
春秋時代(2500年以上前)、衛の国の霊公が晋の国 に行く途中、濮水(ぼくすい)というところで今まで聴いたことのない美しい音楽を聞いた。霊公は思わず立ち止り、楽師に楽譜を起こさせた。
やがて晋に到着し平公の前で、新しい音楽と出会った事情を説明し、その曲を演奏させた。当時、晋には師曠(しこう)という名うての楽士がいた。彼はその音楽を聴き慌てて演奏を中断させこう言った。
『これが新しい音楽というのでしょうか?これは亡国の音です。演奏してはいけません』
『昔、殷(イン)の紂王に師延(しえん)という名楽士がいたが、王に新声百里という下劣な音楽を作って捧げました。紂王はこの音楽にはまり酒池肉林を楽しんで周の武王に誅殺されてしまいました。師延は楽器を抱えて濮水に陥って死んだのに、今でもそこを通るときは、誰もがこの音楽を聞いてしまうのです。だから人々はこの音楽を亡国の音楽といって恐れています』と。
この故事からもわかるように『亡国之音』はトンイに出てきたような音程の乱れではなく、音楽そのものの乱れです。
結局、チャン・オクチョンの再入宮は不吉だと言いがかりをつけた西人(ソイン)の策略なのです。当時の思考や価値観 からすると、これらのことで十分に因縁をつける事ができたのです。
音変や隕石については、イ・ビョンフン監督も大げさなフィクションだとおっしゃっています。タイムリーなことにロシアに隕石が落ちましたが、1m以上の原型をとどめている隕石が落ちたら、昌徳宮(チャンドックン)はきっと壊滅していたことでしょうね(笑)
余談ですが、韓国には日本の文化を恣意的に禁止してきた経緯があります。第4次まで進んだ日本大衆文化開放ですが、未だに完全開放にはいたっていません。
音楽については、2006年に地上波において、国内で開かれる日本歌手の公演を中継したり日本歌手が国内放送に出演して歌う歌だけが放送可能となりました。
戦後始めて日本人による日本語の歌唱が韓国の地上波で放送されたのは、2010年9月10日に2010ドラマアウォーズでSKE48が行ったパフォーマンスをMBCが生中継したものです。けれど、それ以降に続く例がないという残念な状況が続いています。
日本文化を禁止した当時の為政者にとって、日本の大衆音楽は『亡国之音』だったのでしょう。また、朝鮮半島に根付いた性理学的思考から、そのような排他的な決断を下したのでしょうね。
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