内禁衛(ネグミ)の職責
2012/12/21
[ad#300-250]ひとつだけ話を戻して、トンイ第37話について気になったところを解説します。
南人(ナミン)の悪事がことごとく発覚し、粛宗(スクチョン:숙종)は内禁衛将(ネグミジャン:내금위장)のソ・ヨンギを呼び、一党を逮捕するように命じます。
一見何の問題もない場面に思えますが、実はちょっとおかしい場面なんです。
そもそも、内禁衛(ネグミ:내금위)は近衛が職責です。王の警護が職責なのに、一党の逮捕のためにぞろぞろと王の警護から離れてしまってはいけませんよね?現代的に言えばSPですから、王のそばにぴったりと侍っていなければならないのです。
それでは、こんなときに活躍する官営はどこなのでしょうか?
それは、王権維持のため謀反などの大罪を扱う義禁府(ウィグムブ:의금부)です。大逆罪の容疑者が大勢いるわけですから、ここぞとばかりに働かなければならないのです。
ただ、ひとつ問題が。
義禁府(ウィグムブ:의금부)の次官が逮捕されたオ・ユンなのです。彼は正2品・知義禁府事(チウィグンブサ:지의금부사)なので、本来は大逆罪の取り締まりをしなければならないのですが、不幸にも当事者となってしまいました。
そのため、王命により管轄違いながらも信頼の置けるソ・ヨンギを動かしたのでしょう。
そうすると、王の警護が手薄になるのではと思いますよね?
けれど、ご安心ください。
実は内禁衛将(ネグミジャン)は3名いるのです。ドラマ・トンイ内では粛宗が「内禁衛将を呼べ!」というと、たまたまソ・ヨンギが当直なので、一人しかいないように思えますが、あくまでもたまたまなのです(笑)
けれども、粛宗の時代には内禁衛(ネグミ)は弱体化しており、1682年(粛宗8)に設置した禁衛営(クミヨン:금위영)のほうが強化されています。義禁府(ウィグムブ)の大勢が容疑者という場合には、禁衛営(クミヨン)のほうが動いたに違いありません。
ソ・ヨンギファンにとっては残念な情報ですが、粛宗の御世では内禁衛(ネグミ)は重要性を低下させていたのです。
ドラマ・トンイでは視聴者の理解の範疇を超えないように、複雑な組織形態を簡素化しています。
このあたりも史実との差といえますね!
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