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星宿庁(ソンスチョン)2 太陽を抱く月 第3話解説(あらすじ含む)

      2014/08/12

キム・スヒョン、ハン・ガイン主演韓国ドラマ、太陽を抱く月(ヘルル プムンタル:해를 품은 달)第3話の解説(あらすじ含む・ネタバレあり)です。

星宿庁(ソンスチョン:성수청)は謎に満ちた官庁で、明確なことは殆どわかっていません。

それでは、史料に残っている断片なども踏まえて紐解いていきましょう。

太陽を抱く月130204

星宿庁(ソンスチョン:성수청)の定義

朝鮮時代に国巫堂(クンムダン:국무당)を要して国家の祈恩(キウン:기은:王家の福を祈るための行事)を担当させるにするために設置した官庁。

ようするに、巫女を集めた国家のために祈祷する官庁です。星宿とはあまねく星座を意味します。国巫堂(クンムダン)は単に国巫(クンム:국무)と表現されることも多いですが、これは国に仕える巫女という意味です。

実はいつからあったのかは明確にはわかっていません。高麗明宗(コリョ ミョンジョン:고려 명종:在位1170-1197)に設置された別例祈恩都監(ピョルレギウンドガム:별례기은도감)が前身だと言われています。

高麗においても、高麗顕宗(ヒョンジョン:현종)の代の1021年(顕宗12)になってはじめて巫女による雨乞いが行われたとの記述が出てくるため、国家が巫女を集めて催事を行ったという歴史はそこまで古くないものです。また、その後は100年ほど巫女に関する記述はありません。

 

朝鮮王朝実録を見ると、第9代成宗(ソンジョン:성종)の治世、1477年(成宗8)9月9日にはじめてその名が記されます。この時は臣下が王に対し星宿庁の修理を命じたこと諌めるという内容なのですが、成宗は『祖宗朝(チョジョンジョ:조종조)の時に始めた』と、朝鮮建国来、星宿庁があったことを示唆しています。

また、このやり取りからわかることは、成宗代には巫女を邪教であり風俗を乱すものとして、儒者が排除の対象としていたことです。成宗代には計5回星宿庁(ソンスチョン)という名称が出てきますが、すべて撤廃を求める諫言です。

第10代燕山君(ヨンサングン:연산군)の代には4度出てきます。1度目は諫言ですが、2・3度目は塀を作る云々の話で、4度目は巫女の雑役を免除しろという命令です。この暴君は星宿庁を庇護しています。

第11代中宗(チュンジョン:중종)の代には1度しか出て来ません。これが実録における星宿庁(ソンスチョン)の最後の記録です。即位した翌月、1506年(中宗1)10月25日に臣下により異端を廃するために昭格署(ソギョクソ:소격서)とともに全廃すべきとの進言を受けたことが記されています。

昭格署は道教の祭事を司る官庁です。1518年(中宗13)に有名な儒者で臣下の趙光祖(チョ・グァンジョ:조광조)の進言により廃止されました。1525年に復設され1598年(宣祖25)に再度廃止されるのですが、最初に廃止された頃に星宿庁も廃止されたのではないかと思われます。

太陽を抱く月では国巫のトップを 都巫女(トムニョ:도무녀)と呼んでいます。これは燕山君(ヨンサングン)代の名称です。承旨(スンジ:승지)もそうですが『都』が付くとトップを意味します。その他の巫女は従巫女(チュムニョ:종무녀)と呼ばれていました。

 

何を行なっていたのか?

これについては大体想像通りで、雨乞い・占い・治病・占い・予言・呪詛・歌舞などです。

第3話には宮中儺禮(クンジュン ナレ:궁중 나례)も描写されましたが、ここでの祈祷も重要な任務でした。この行事は旧暦の大晦日に行い儺礼戯(ナレイ:나례희)とも言います。

ドラマ イ・サンでキム・ギジュが爆薬を使ってサンを暗殺しようとしたシーンがありましたが、あの時の行事れがそうです。そもそもが悪鬼払いの儀式ですので、巫女が欠かせないのです。

 

 

命脈

星宿庁(ソンスチョン)1でも記述しましたが、巫女は都城内への入城を禁止されていました。国巫(クンム)に関しては特権的に入城が許されていたことが推測されますが、いいように使われると同時に儒者からは蔑まれていました。

星宿庁(ソンスチョン)は都城以外にも旧都開城(ケソン)にも拠点を持っていたと推測されています。

前述したように星宿庁(ソンスチョン)は中宗代には全廃に追い込まれましたが、巫女自体は現代まで命脈を保っています。また、庶民の間では儒教的概念よりも、昔から信じられていた迷信じみた巫俗の概念のほうが身近にありました。城隍祭(ソンファンジェ:성황제)に代表される村の神を祭る行事から、個人の治病のための祈祷まで、生活に根付いていたと言えます。

また、困ったときのなんとやらで、両班階級や王族も結局は朝鮮が終わるその日まで何かと利用していました。国家の官庁としての星宿庁は無くなっても、王家の行事として除災招福を祈願する別祈恩(ピョルギウン별기은)はずっと続けられたのです。

また、悪い例では第19代粛宗(スクチョン:숙종)代に禧嬪張氏(ヒビンチャンシ:희빈장씨)が起こした巫蠱の獄事(ムゴエオクサ:무고의 옥사)などがその典型です。

庶民のための医療機関である活人署(ファリンソ:활인서)には医巫(ウィム:의무)がおり、治病のために祈っていました。特に当時は媽媽(ママ:마마)と呼ばれていた天然痘などの疫病の伝播を防ぐには、彼女らの力が必要不可欠と思われていました。

 

結局世の中最後には理性や理論よりも神頼みということなのかもしれませんね~。

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星宿庁(ソンスチョン)2 太陽を抱く月 第3話解説(あらすじ含む)

 

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