康寧殿(カンニョンジョン)が王宮殿? 太陽を抱く月 第10話解説(あらすじ含む)
キム・スヒョン、ハン・ガイン主演韓国ドラマ、太陽を抱く月(ヘルル プムンタル:해를 품은 달)第10話の解説(あらすじ含む・ネタバレあり)です。
自分の記憶を神気(巫女としての能力)と勘違いしているウォル。けれど次第にその記憶が自分の記憶のように思えてしまう。
見ていて切なくもどかしい描写です。
今回はドラマに出てくる用語を紐解いていきます。
康寧殿(カンニョンジョン:강녕전)
景福宮(キョンボックン:경복궁)内で王が生活する場所です。寝殿(チムジョン:침전)や大殿(テジョン:대전)とも言います。大殿については広義には王宮自体を、狭義には王の寝殿や王を指します。
今まで他のドラマでも『王宮殿』という表記を見ていて、それをスルーしていましたが、よく考えるとおかしい表現ですよね?
『訳だから?』と思っていましたが、そもそも日本語にはこの言葉はありません。もちろん韓国語にもありません。中宮殿と語呂合わせした造語なのでしょうが、大殿(テジョン)や寝殿(チムジョン)で意味は通じるので、わざわざこの言葉を使うのが不思議です。
寝殿は日本語でも殿の寝所を表す言葉ですので流用が可能ですが、個人的には康寧殿(カンニョンジョン)のままか、大殿(テジョン)を選択したほうが良いと思います。
ドラマ・トンイでは尚膳(サンソン:상선)を大殿内官(テジョンネグァン:대전 내관)としていますから、逆に考えても王の居所が大殿だとわかると思います。他のドラマでもよく使われる言葉はストレートに訳したほうがわかりやすいです。
ちなみに、次に説明する交泰殿(キョテジョン:교태전)とともに、この言葉が出てきたら舞台が景福宮で、第14代宣祖(ソンジョ:선조)以前か、26代高宗(コジョン:고종)以降のどちらかということがわかります。
交泰殿(キョテジョン:교태전)
景福宮(キョンボックン)内で王妃が生活する場所です。中宮殿(チュングンジョン:중궁전)、中殿(チュンジョン:중전)、中宮(チュングン:중궁)とも呼ばれます。
王は大殿(テジョン)と呼ばれることもありますが、王妃の場合、通常、中殿(チュンジョン)と呼ばれます。当サイトでもデフォルトで王妃ではなく中殿を採用しています。また、比喩的に『交泰殿の主人』と呼ばれることも多く、この言葉は出現頻度の高い言葉です。
そのため、交泰殿が無い時代のドラマでも、王妃の寝殿を交泰殿と書き間違える作家もいるほどです。
御医・御醫(オイ:어의)
宮廷内で王や王族を治療していた内医院(ネイウォン:내의원)所属の医員です。ドラマ内の訳は『主治医』や『内医院』になっていました。
この言葉も時代劇には高頻度で登場しますので、あまり他の言葉に置き換えないほうが、他のドラマも含めてスムースに視聴できると思います。漢字に医が入っているので『御医を呼べ』と言って医員がやってくれば、意味はわかりますよね!
合房(ハッパン:합방)
直接の意味は『共に寝る』ですが、転じて男女の営みを指す言葉です。
以前、トンイ考2で王の夫婦生活について解説していますので、興味のある方は以下のリンクをご覧ください。
翻訳については、どの層をターゲットにするかによって臨機応変に対応しなければならないとても難し作業だと思います。けれど、トンイまでとそれ以降で、NHKの翻訳は緩いものになってきていると思われます。例えるなら、高校生レベルから中学生レベルに引き下げた感じです。
ひょっとしたら視聴者の要請が多かったのかもしれませんが、時代劇には時代劇なりの言葉選びがあると思うんですよね。
最近では大河ドラマでもその傾向があって、不思議な日本語になっていますが、分かりやすさを追求するばかりだと日本人はどんどん馬鹿になってしまうので、少し脳に負荷が掛かる程度の言葉を選んで欲しいと思います。
『わからない言葉があればガイドブックを買ってください!』と言っておけばNHKさんも損はないですよね(笑)
第11話に続く
太陽を抱く月OST 時間に逆らって(シガヌル コスルロ:시간을 거슬러) リン(린:LYn)
月の光が沈む(タルビチ チゴ:달빛이 지고) ヘオラ(해오라:Heora)
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