太陽を抱く月 第2話 大提学・壮元・アギシ・詠井中月(あらすじ含む)
キム・スヒョン、ハン・ガイン主演韓国ドラマ、太陽を抱く月(ヘルル プムンタル:해를 품은 달)第2話の解説(あらすじ含む・ネタバレあり)です。
今回は星宿庁(ソンスチョン:성수청)について説明する予定にしていましたが、次回にまわしたほうがよさそうですし、今回は他に説明したいこともありますので、予定を変更することにします。
今回も語句などの解説をします。
まず、ヨヌの父ホ・ヨンジェですが、役職は弘文館大提学(ホンムングァン テチェハク:홍문관 대제학)です。弘文館は宮中の経書や史籍の管理、公文書の処理、王の諮問に応じることがその職域です。
大提学は弘文館の中で最上位の正二品です。六曹の判書(パンソ)と同等の品階です。また、清要職とされ、清廉潔白かつ博識も伴った人物がなる役職でした。
太陽を抱く月は架空の朝鮮を描いていますが、第9代成宗(ソンジョン:성종)の時代ととても良く似ています。ちょうどこの時代は第7代世祖(セジョ세조)代の功臣と、朝廷に進出し始めた在野にいた儒者集団・士林(サリム:사림)との対立が始まった頃です。
もちろん王による王権の強化のために士林を登用している側面があります。また臣下たちのパワーバランスを保つ狙いもあります。ドラマでもそのように描写されています。
ヨヌの兄ホ・ヨムは朝鮮の官吏登用試験・科挙(クァゴ:과거)で17歳にして壮元(チャンウォン:장원)合格しています。壮元は首席なのですが、17歳というのはとんでもない設定で、現代でいうと最難関大学の大学院を首席で終了したようなものです。(大学院に首席があるのかは知りません:笑)
オリジナル音声で視聴している方はドラマの中で『ホ・ヨム』と呼ばれてないことに気づいているのではないでしょうか?彼は世子(セジャ:세자)の教育機関・世子侍講院(セジャシガンウォン:세자시강원)の正5品文学(ムナク:문학)に任命されているため『ホ・ムナク』と呼ばれています。
このドラマはフィクションなのでOKなのですが、壮元(チャンウォン)合格者でも従6品が最初の品階ですので、文学の地位に付くというのは異例中の異例です。ちなみに、時代劇で許(ホ)氏が出てくると、秀才を連想します。
ミンファ/ミナ公主(コンジュ)が登場しました。尚宮(サングン)から呼ばれる際に字幕では『王女様』となっていましたが、このドラマでは公主のあとの尊称に『媽媽(ママ:마마)』ではなく『アギッシ:아기씨』を使用しています。実は前者が誤りで後者のほうが正しいと言われていますが、各時代劇はすでに定着してしまった誤った方を多用しています。
ヨヌが世子(セジャ:세자)に送った手紙には、高麗(コリョ:고려)中期の文人・李奎報(イ・ギュボ:이규보)の『詠井中月(ヨンジョンジュンウォル:영정중월)』が書かれていました。月を題材にしたとても有名な五言絶句です。
山僧貪月色(サンスンタムウォルセク:산승탐월색)
幷汲一甁中(ピョングビルビョンジュン:병급일병중)
到寺方應覺(トサバンウンガク:도사방응각)
甁傾月亦空(ピョンギョンウォルヨッゴン병경월역공)
おおまかな意味は下記のとおりです。
『山僧が月光をむさぼり、水とともにその月を瓶の中へ汲み取った。寺に到着し、ようやく悟る。瓶を傾けても月が無いことを』
次回こそは星宿庁(ソンスチョン:성수청)について説明する予定です。(予定は未定:笑)
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太陽を抱く月 第2話 大提学・壮元・アギシ・詠井中月(あらすじ含む)