王女の男 12話 讓寧大君 登場しない大物その1
2012/11/26
王女の男(原題:公主の男:コンジュエ ナムジャ:공주의 남자)第12話。
フィクションに突入して史実らしい史実もなかった12話。
温寧君(オンニョングン:온녕군)をオンニョン大君(デグン)と2度も言ったヨリのセリフ間違いが気になったくらいです。(※韓国語音声にしないとわかりません)
温寧君は首陽大君(スヤンテグン:수양대군)の叔父ではあるものの、第3代太宗(テジョン:태종)李芳遠(イ・バンウォン:이방원)の庶子で なので、号は「君(クン)」です。「大君(テグン)」は嫡出子に与えられる号なので彼には使えません。
ヨリの本当のセリフは温寧君大監(オンニョングン テガム:온녕군 대감)だったのでしょうが、本人もスタッフもセリフ間違いに気が付かなかったのでしょうね~。
さて、温寧君の話が出たついでに、讓寧大君(ヤンニョンデグン:양녕대군)の話をしましょう。昨今の韓国時代劇の特徴として、ストーリーの簡素化を図るために、歴史上の超大物を登場させないという大技を見せるドラマが多くなっています。
例えば、トンイでは老論(ノロン:노론)の領袖で朱子学の大家・宋時烈(ソン・シヨル:송시열)が登場しませんでした。王女の男にも歴史上超有名な人物が3名出てこないのです。その一人が讓寧大君(ヤンニョンデグン)で、ドラマ内で温寧君が担っている、いやそれ以上の影響力があった人物です。
実際のところ温寧君(オンニョングン)は史料も少ないことからもわかるように、大した働きはしていません。この頃は大君の数が異様に多く、出る幕はなかったものと思われます。
※朝鮮王系図を見ながら読み進めるとわかりやすいです。温寧君は載っていません。
讓寧大君(ヤンニョンデグン)は第3代太宗(テジョン)の長男でありながら、世子の地位を弟でのちの第4代世宗(セジョン:세종)に譲った人です。
首陽大君(スヤンテグン)の残忍さは隔世遺伝で祖父の太宗(テジョン)から受け継いだのではないかと個人的には思っているのですが、その太宗(テジョン)の残忍さを目の当たりにして、王になるということに嫌気が差したのか、素行不良があまりにもひどく、彼は世子の地位を降りたのでした。これについては本人が意図的にそうしたという説と、持って生まれた気質だったという説の2つあります。
彼は首陽にとっては叔父にあたり、王族の集合体・宗親(チョンチン:종친)の最長老でした。そして、すぐ下の弟で世宗(セジョン)の兄の孝寧大君(ヒョリョンデグン:효령대군)も存命中でした。
孝寧大君が王女の男に登場していない第2の大物です。この二人の兄弟は水と油のように全く異なる剛と柔の性格でした。孝寧大君は仏門に帰依していたので、落ち着き払った人で、どちらかというと第6代端宗(タンジョン:단종)を擁護していました。
けれど、兄の讓寧大君(ヤンニョンデグン)は首陽の精神的支柱となり、安平大君(アンピョンデグン:안평대군)や端宗を殺すべきだと主張しました。このような強力なバックアップもあったこともあり、首陽は王座へと突き進んでいったのです。
ちなみに、最近、竹島問題で何かと話題の大韓民国初代大統領・李承晩(イ・スンマン:이승만)は彼の子孫です。
王女の男 12話 讓寧大君 登場しない大物その1
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