チェーザレが面白い!
「何々チェーザレって新しいドラマ?」って思った方もいるかも知れませんが、今回は韓国の歴史の話しじゃありません(笑)
チェーザレとは西暦1500年前後にイタリアで活躍したスペイン人です。
惣領冬実が漫画化したことで、あまり世界史に興味のない方たちにも、一躍メジャーになった人物です。そのマンガが実に面白いんですよ!
実は中高生の頃から惣領冬実のマンガが大好きで、「ボーイフレンド」や「3-THREE-」はオンタイムで連載を楽しんだだけでなく、マンガも買って数十回は読んだ作品です。引越しするときにも実家から持ちだしたほどです。もちろん、今も手元にあります。
彼女の絵は他の少女漫画家にも共通するように、動きの無さが弱点ですが、静止画の美しさ、視点と論述の明確さでは他の追随を許さない稀有な才能を持っています。
少女漫画は惚れた腫れたばかりなので辟易して男性誌に映ったようですが、彼女の才能をあますところなく発揮できるので、正しい決断だったでしょう。
さて、その漫画の主人公チェーザレ・ボルジアですが、ボクの中ではとてもメジャーな存在で、高校の世界史の時に覚えた名前だと思っていたのですが、改めて山川の世界史用語集を見てみると、名前が出てこないんですよ!どうやら別のところでこの名にどっぷりと浸かったようです。
心当たりがあって本棚を見てみるとありました。イタリア紙の大家・塩野七生のチェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷。かなり変色しています(汗)。高校の頃に買って夢中で読んでいたので、同じ頃に覚えた世界史の知識とごっちゃになっていたようです。
朝鮮で言うと第10代燕山君(ヨンサングン:연산군:在位1494-1506)の頃に活躍したチェーザレですが、大叔父と父がローマ教皇、そして同い年にはミケランジェロや、後に教皇となるメディチ家出身のレオーネ10世がいます。
ヨーロッパはキリスト教も絡んでいるし、広範囲ということもあるので一概には言えませんが、日本の戦国時代に近い様相です。そしてチェーザレは例えて言うなら織田信長のような印象で、イタリア統一を目論見、果たせなかった人物です。
朝鮮王朝が燕山君の恐怖政治の中で縮こまっていたこのころ、イタリアはルネサンスの絶頂期といっていい時代でした。
レオーネ10世の父はフィレンツェでルネサンスの偉大なる後援者となったあのイル・マニーフィコことロレンツォ・デ・メディチです。また、チェーザレより二回り年上にはレオナルド・ダ・ヴィンチが、6つ年上にはニッコロ・マキャヴェッリがいます。コロンブスなども縁しがあります。
そのマキャヴェッリの有名な著書「君主論」で理想的な君主像とされているのが、実はチェーザレなのです!
書き出すとキリがなくなるのでこのぐらいにして、お正月に暇を弄ぶようでしたら、チェーザレを大人買いしてみてはいかがでしょう?
マンガといってもとても高尚な作品ですので、年明け早々精神的に充実できると思いますよ!
それにしても日本の漫画ってほんとすごいですよね。他国の歴史をここまで綿密に調べあげて、歴史考証に忠実に絵作りをして作品にするなんて。しかもそれが数百万部売れるのですから。この歴史考証ぶりを韓国ドラマは見習って欲しいですね~。ちゃんと考証しても面白いもんは面白いんだァ~!
マンガやアニメというと売れ線のものだけがピックアップされて「世界に冠たる」「世界一の」と形容されますが、このような作品こそもっと世界に発信して欲しいと思います!
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