王女の男 第8話 癸酉靖難(ケユジョンナン)中編
2012/11/26
王女の男(原題:公主の男:コンジュエ ナムジャ:공주의 남자)第8話。
ついに首陽大君(スヤンデグン:수양대군)による政敵への大粛清・癸酉靖難(ケユジョンナン:계유정난)の火蓋が切って落とされました。
最初に刺客の餌食となったのは大虎(テホ:대호)金宗瑞(キム・ジョンソ:김종서)でした。正確に言うと長男の金承珪(キム・スンギュ:김승규)のほうが先に絶命しています。
王女の男の主人公・金承琉(キム:スンユ:김승유)はこの時点での存命が確認されていません。史料を総合的に判断して、以前に亡くなっていると思われます。
1453年10月10日、夜も老けた頃に金宗瑞宅を数人の部下しか連れていない首陽がやってきます。武力の動員は可能だったものの、警戒心を呼び起こさないために、あえて自ら乗り込んだのです。首陽は妻が用意した鎧を官服の下に着こみ、馬に乗り出かけます。
数日前には申叔舟(シン・スクチュ:신숙주)の、そして当日には権覧(クォン・ラム:권람)の訪問を受けていた金宗瑞(キム・ジョンソ)は、それなりに警戒はしているものの、厳戒態勢を敷いているわけではありませんでした。この流れで、首陽が訪問してきたのですから、受け入れざるを得ません。
金宗瑞(キム・ジョンソ)が部屋に入るよう何度も促すも、首陽は夜も更けているという理由を口実に入りませんでした。ただひとつお願いがあると、紗帽(サモ)の角がひとつなくなったため、用意して欲しいと頼みます。
その後、本題に入るとし、「弟の永膺大君(ヨンウン テグン:영응 대군)の夫人をが弾劾しようと思うがあなたが指揮しますか?」と持ちかけます。金宗瑞(キム・ジョンソ)は天を仰ぎ見、沈黙します。首陽は「秘密の願いがあるからお前たちは退け」と、金宗瑞(キム・ジョンソ)の護衛を遠ざけますが、さほど遠のきませんでした。
そして、「願いを記した手紙があります」と、言い「手紙をどこにやったか?」と、下男の林於乙云(イム・オウルン:임어을운)に予め用意しておいた誘引用の手紙を渡させます。
金宗瑞(キム・ジョンソ)は暗がりでは手紙の字を読むことができず、月明かりに手紙をかざしました。その時にできた一瞬の隙を首陽は見逃さず、林於乙云に合図を送ります。そして、林於乙云は懐に隠しておいた鉄槌を金宗瑞(キム・ジョンソ)めがけて振り下ろしたのです。
金宗瑞(キム・ジョンソ)はその場に倒れます。驚いて父に駆け寄り覆いかぶさった金承珪(キム・スンギュ)を楊汀(ヤンジョン:양정)が刀で切り捨てました。
この小説でも読んでいるかのような詳細な描写はすべて朝鮮王朝実録に記載されています。もちろん首陽を主人公にした勧善懲悪の物語として。
「歴史とは勝者の歴史である」とはよく言ったものです。
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