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綱常罪という罪は本当に存在したのか? 馬医22話

   

イ・ビョンフン監督が演出するチョ・スンウ(조승우)、イ・ヨウォン(이요원)主演韓国時代劇・歴史ドラマ馬医(マイ/ばい:마의)第22話の解説&感想(あらすじ・ネタバレ含む)です。

馬医 キャスト・登場人物

再びイ・ミョンファンによる策略にはめられ、罪人に仕立てあげられた白光炫(ペク・クァンヒョン:백광현)

今度の罪は綱常罪(カンサンジェ)です。

この罪はどんな罪でなのでしょうか?また、実際に存在していたのでしょうか?

馬医(マウィ:마의)ポスター

 

綱常罪(カンサンジェ:강상죄)

綱常罪(カンサンジェ:강상죄)は実際に存在した罪です。聞きなれない言葉ですが、綱常とは三綱五常(さんこうごじょう)という四字熟語としても日本にも入ってきている概念です。

三綱とは、君臣・父子・夫婦の道理で、五常とは仁・義・礼・智 ・信です。このことからもわかるように、儒教的道徳観を逸脱した罪が綱常罪となります。

ドラマ内でも描写されたように、一般の刑罰を扱う官庁の捕盗庁(ポドチョン:포도청)ではなく、義禁府(ウィグムブ:의금부)の管轄となります。これがどういったことを意味するかというと、国の根幹に関わる重大な罪であるということです。

義禁府は謀反などの大罪を取り扱う官庁ですので、綱常罪が当時としては相当厳しい罪であることがわかると思います。

クァンヒョンの場合には、良賤制(ヤンチョンジェ:양천제)のくびきを超えて、両班家の寡婦と不義密通を行ったかどで捕縛されたのですが、もしこれが本当なら命を取られてもおかしくない罪状です。

 

綱常罪関連で面白いエピソードを紹介しましょう。顕宗(ヒョンジョン:현종)の息子・粛宗(スクチョン:숙종)の時代のことです。とある男が主人を殺すという大罪を犯しました。

これは君臣の道理に反する行為なのですが、それが起きた土地は降格させられました。『なにそれ?』と思うかもしれませんが、当時の朝鮮には土地に対する懲罰制度があり、土地の格を下げられることもあったのです。

よくあるパターンが謀反人を排出した地域の降格でした。現代で言うと市から村に降格させられるようなもので、その土地の権威も失墜するだけでなく、実際の行政においても優遇措置が撤廃されるため、かなりのダメージが有りました。

罪が個人に帰結するのではなく、その罪人を育んだ土地にもあるという、現代の価値基準では摩訶不思議な概念がまかり通っていたのです。

 

実は、現代韓国にもこの綱常罪の名残りともいえる法律が存在します。それは姦通罪です。簡単に言うと不倫をしたら刑事罰の対象となるという罪です。韓国の警報241条にその規定があり、2年以下の懲役が下される罪です。

原告になりえるのは夫婦の一方だけで、しかも親告罪であるため、そうやたらめったら訴えが起きるものではありませんが、この罪が残っているのは、まさに儒教的概念の残滓といったところです。

 

【参考】 顕宗(ヒョンジョン:현종)  韓国歴史ヒストリア

 

馬医第23話に続く

挿入曲 馬医OST  たった一つ(オジク タン ハナ:오직 단 하나) ソヒャン(소향)

韓国ドラマ視聴雑感2012年2月

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