辞表を出したチャン・インジュ。本当にそんなことができたのか? 馬医33話
イ・ビョンフン監督が演出するチョ・スンウ(조승우)、イ・ヨウォン(이요원)主演韓国時代劇・歴史ドラマ馬医(マイ/ばい:마의)第33話の解説&感想(あらすじ・ネタバレ含む)です。
清でのウ妃の治療を無事に終え、何かを得て朝鮮に帰ってきた白光炫(ペク・クァンヒョン:백광현)。
一方でチニョンは恵民署(ヘミンソ:혜민서)を辞めて、育ての親のイ・ミョンファンに抗うことになるにもかかわらず、使節の薬房を運営することになります。
その薬房で働くために、懇意にしている医員とチャン・インジュが辞表を提出しました。
その当時、そのようなことが可能だったのでしょうか?
医女の身分は官奴婢(カンノビ)
まず、医員の場合には辞表を出して職をを辞することは可能です。簡易を持つものは特に強制的に働かされているわけではないため、高齢になると頃合いを見て里に帰ったり隠居したりするのが常でした。
問題は医女です。現代の女医ならばステータスの高い職業ですが、当時の医女は官奴婢(カンノビ)です。官奴婢とは私奴婢(サノビ)と相対する言葉ですが、言ってみれば国有財産です。
奴婢自体、人であって人でなく、金銭で馬よりも安く売買されていました。官奴婢は国有財産ですので、勝手な売買もできず、国の定める職業に従事しなければなりませんでした。
医女もそんな職業の一つであり、別名を薬房妓生(ヤクバン/ヤッパンキーセン:약방 기생)と言いました。人の体に触れるような職業はそもそも卑しいこととされており、医女とキーセンには線引が為されていなかったのです。
イ・ビョンフン監督作品には大長今(テジャングム:대장금)に代表されるように、女性の独立心やその様子が現代的に描かれるきらいがあり、時代考証に即して考えると、明らかなミスリードとなるも設定が多くあります。
医女が辞表を出すなんてもってのほかで、老齢になるか病に陥らない限りは、ずっと労働を課せられました。そのため、チャン・インジュが自由に旅してクァンヒョンを探しまわっていたというエピソードも完全なフィクションです。
不幸なことに、医女のみならず官奴婢には移動の自由は与えられていませんでした。
【参考】 顕宗(ヒョンジョン:현종) 韓国歴史ヒストリア
馬医第34話に続く
挿入曲 馬医OST たった一つ(オジク タン ハナ:오직 단 하나) ソヒャン(소향)
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