馬医6話 領議政の息子
イ・ビョンフン監督が演出するチョ・スンウ(조승우)、イ・ヨウォン(이요원)主演韓国時代劇・歴史ドラマ馬医(マイ/ばい:마의)第6話の解説&感想(あらすじ・ネタバレ含む)です。
第6話ではトンイやイ・サンに出演したイ・ビョンフン組の俳優が大挙して出演し始めました。僕は個人的にコ・ジュマン役のイ・スンジェ氏の大ファンなので、この回から急激に満足度が高くなってます(笑)
トンイでは鬼のようだった粛宗(スクチョン:숙종)の母・明聖王后(ミョンソンワンフ:명성왕후)がしおらしいのでギャップを感じた方も多いのではないでしょうか?(笑)
今回、最初の数分を吹き替えで見てみました。日本の吹き替えは世界でも最高水準なのですが、やはり本人の演技と吹き替え者の演技には乖離があるうえに、セリフに使う言葉の選び方で監督が伝えたいニュアンスとは別のニュアンスで伝わってしまうのだなと思わずにはいられませんでした。吹き替えや字幕における永遠の課題でしょうね。
さて、その冒頭のやり取りですが、役者の演技のテンポも小気味良く、すごく笑えるシーンでした。
酒場から逃げ出たあとに落ち着いた4人。クァンヒョンは、いいとこのお嬢さんなのに狂ってんのかと説教を始めます。訳はふしだらになっていましたが、韓国では他のドラマでも『狂ってんのか?』とよく使いますね(汗)
淑徽公主(スッキ/スクフィコンジュ)もチニョンもこれには二人合わせて『狂ってるですって?』と反発します。そして、沸点に達した淑徽公主は『私はこの国の公主だ』と言ってしまいます。
その後のクァンヒョンの言い返しがたまりません。
『ハハハ、長く生きてきて公主様にはじめて会った!こちらが公主様なら、こちらはムスリ? ちょっと~!そちらが公主様ならこっちは領議政の息子で、そっちは左議政の息子だ!』
呆れたクァンヒョンは更にこう続けます。
『もういいから、自宅にでも帰ってください。(公主には)そちらは宮廷にお帰りください』
といって、笑いながらその場を去りました。
ここで面白いのが公主(姫)に対抗して、自分たちは領議政(ヨンイジョン:영의정)と左議政(チャイジョン:좌의정)の息子だといったことです。日本で言うと太政大臣と左大臣の息子で、現代だと総理大臣と官房長官の息子といったところです。あとで大変な目に合うにも関わらず(笑)
また、チニョンをムスリと言ったところも笑いのポイントです。明らかに良家の子女とわかっているのに、宮廷で働く賤民の水汲み女と言っているのですから。(ムスリについては同日放送のトンイで話題になったため記事にしています。 → ムスリと元寇 トンイ第27話解説(あらすじ含む) )
さらに『宅』に帰れといった上に、公主には『闕(クォル:궐:宮廷のこと)』へ帰れととどめを刺します。吹き替えの訳では最初の『宅(自宅)』が抜けていて、『闕』との対比としての面白さが完全には伝わっていませんでした。
チョ・スンウはこのようなコミカルな演技がとてもうまく、おそらく最後の『宮廷へ帰れ』の部分はアドリブなのではないかと思います。
シリアスな場面の多いドラマ馬医ですが、このようにアドリブで笑いを取るシーンがこれからも何度も出てきます。吹き替えだとわかりにくいかもしれませんが、笑えるシーンにフォーカスするのもこのドラマの楽しみ方の一つですね!
第7話に続く
挿入曲 馬医OST たった一つ(オジク タン ハナ:오직 단 하나) ソヒャン(소향)