馬医4話 孝宗(ヒョジョン:효종)
イ・ビョンフン監督が演出する韓国時代劇・歴史ドラマ馬医(マイ/ばい:마의)第4話の解説&感想(あらすじ・ネタバレ含む)です。
第4話は歴史的な引っ掛かりはありませんでしたので、第3話に登場した朝鮮第17代王・孝宗(ヒョジョン:효종)について説明します。第4話も第3話に引き続き彼の治世です。
朝鮮王朝は第14代宣祖(ソンジョン:선조)から第18代顕宗(ヒョンジョン:현종)までは、清と日本という外敵の侵入によるダメージを受け、国力が急激に低下した時代でした。そして、第16代仁祖(インジョ:인조)の息子である孝宗(ヒョジョン)と、孝宗の息子である顕宗は何も出来なかった王として評価されています。
孝宗(ヒョジョン)は仁祖の次男で昭顕世子(ソヒョンセジャ:소현세자)の実の弟です。世子(セジャ:세자)になるまでは鳳林大君(ポンリムデグン:봉림대군)と呼ばれていました。
彼は兄とともに清の人質となり8年間を清で過ごしました。兄が親清派として清の文物を多くを学び帰国後の祖国復興に備えたのに対し、鳳林大君は反清として忸怩たる思いを抱えていました。
帰国後、兄の不審死により世子となり、父王の死とともに王位に着きました。そして、清を征伐する北伐(プクボル:북벌)政策を推し進めていきます。これには、本人の意志のみならず、少年期来の師父で儒学の大家・宋時烈(ソン・シヨル:송시열)の影響もありました。
イ・ビョンフン監督はトンイでも馬医でもなぜか宋時烈を登場させないのですが、彼はこの時代の超大物です。つい十数年前まで韓国では同じ姓で同じ本貫の者どうしは結婚出来なかったのですが、本来あった儒教の教えを厳格化し近年までルール付けたのが彼でした。
詳しくはコチラ → 宋時烈(ソン・シヨル)と不娶同姓
北伐には名分はあるものの、いくら朝鮮が軍事を強化しても清に対抗できるレベルには到達しませんでした。ましてや、一度壊滅的なダメージを受けていたため、号令だけが虚しく響きました。
また、昭顕世子(ソヒョンセジャ)の子息が複数名いたにもかかわらず世子を経て王になったことからもわかるように、彼は常に宗統(チョントン:종통)の問題を抱えていました。そもそも父王も神輿に乗せられて一介の王族から王になった人でしたので、王としての正当性が著しく弱かったのです。
経済施策においては多少評価される部分はあるものの、結局、孝宗(ヒョジョン)は何も出来なかった王であり11年の治世の評価も芳しくありません。
そして、受け継がれるべきでないこの王権の弱体化は息子・顕宗(ヒョンジョン)にも自然と受け継がれていくこととなります。
挿入曲 馬医OST たった一つ(オジク タン ハナ:오직 단 하나) ソヒャン(소향)
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