馬医3話 伸冤と漢字語
イ・ビョンフン監督が演出する韓国時代劇・歴史ドラマ馬医(マイ/ばい:마의)第3話の解説&感想(あらすじ・ネタバレ含む)です。
【訂正】 大きな勘違いが発覚しました。イ・ミョンファンはてっきり実在の人物だと思っていたのですが、そうではありませんでした。
実はドラマの時代から100年後の第21代英祖(ヨンジョ:영조)の代に同姓同名の人物がいて、それをドラマのイ・ミョンファンだと思っていたのです。過去に登場人物のページを作るときに、脳内で100年タイムスリップしていました(汗)
ちなみに、実在のイ・ミョンファンは、宣祖(ソンジョン:선조)の5代孫で、君号はないものの王族です。科挙に壮元合格(首席)し、王族から優秀な人物が出たことに英祖が大変喜んだというエピソードがあります。
さて、ストーリーは史実とは関係のないところで進んでいますので、今日はドラマ内に出てきた伸冤(シヌォン:신원)という言葉を取り上げます。
イ・ビョンフン監督のドラマは、おそらく監督の「万人にわかりやすいドラマ」というコンセプトを元に、平易な言葉を使うように心がけて制作されているように思えます。彼の作品をよく見ているからかもしれませんが、他のドラマより言葉がわかりやすいです。(ひょっとするとセリフ分量の関係もあるかもしれません)
しかも、史劇ということで漢字語が多く出てくるため、日本人には現代の学校を舞台にしたドラマなどより数倍理解がしやすいかと思います。個人的なボキャブラリーによるのかもしれませんが、学校モノは新語が多く、何を行っているか全くわからないこともあります(汗)
けれど、今回紹介する伸冤(シヌォン)はなかなかに難解な言葉です。意味は『冤罪を晴らす』という意味で、元々は中国語です。第18代孝宗(ヒョジョン:효종)が、クァンヒョンの実父の汚名を晴らし、家門を復権させることを公表したシーンでこの言葉が使用されました。
この時代の漢字語はかなりの確率で日本語にもなっているのですが、『伸冤(しんえん)』という言葉は広辞苑にも掲載されていません。ただし、漢字源には載っているため一応日本語化はされているようですが、グーグルで検索しても中国語として出てきます。
これとは逆に、当時の朝鮮では使用されるはずのない和製漢語がバンバン出てくることがあります。けっこう頻度の高いものに『民族』があります。諸説ありますが1870年ごろに福沢諭吉が翻訳の過程で作った造語だと言われています。
ちょっとマニアックな楽しみ方かもしれませんが、ドラマを見ながら日本語化している共通の漢字語をチェックしたり、日本語由来の言葉を探しだしたりするのも面白いですよ!
挿入曲 馬医OST たった一つ(オジク タン ハナ:오직 단 하나) ソヒャン(소향)
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