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馬医2話 姜嬪(カンビン)の悲劇

   

イ・ビョンフン監督が演出する韓国時代劇・歴史ドラマ馬医(マイ/ばい:마의)第2話の解説&感想(あらすじ・ネタバレ含む)です。

馬医 キャスト・登場人物

昭顕世子(ソヒョンセジャ:소현세자)が亡くなって12年後、すでに治世は第17代孝宗(ヒョジョン:효종)代に移っています。孝宗は兄の死を不審に思い再捜査を命じました。1647年にあたります。

馬医(マウィ:마의)ポスター

さて、今日は姜嬪(カンビン:강빈)について取り上げます。『姜嬪なんて出てきたっけ?』と思われる方もいるかもしれませんね。昭顕世子のそばで悲痛な姿を見せていたのが彼女です。父・仁祖(インジョ:인조)に毒殺されたとされる昭顕世子以上の不幸に見舞われたのは彼女の方でした。

姜嬪(カンビン)というのは略称で、正しくは愍懷嬪姜氏(ミヌェビン カンシ/ミンフェビン カンシ:민회빈강씨ですが、姜嬪と呼ばれることのほうが多いです。

今年の春からJTBCで放送が開始された『宮中残酷史 花の戦争(コンジュンジャノクサ コットゥレ チョンジェ:궁중잔혹사 – 꽃들의 전쟁)』ではおそらく詳細に描写されていると思います。(時間がなくてまだ見ていません)

彼女は改革派の昭顕世子(ソヒョンセジャ)にふさわしい妻でした。ともに清の瀋陽で人質生活を送りながらも、人質となった多くの朝鮮人の保護や、疲弊した母国を救済するための商売に意欲的に取り組み、遺憾なく才能を発揮しました。

けれど、仁祖(インジョ)は自分の地位を脅かす息子ともども彼女を疎ましく思います。そして、昭顕世子が亡くなった後に仁祖はすぐに排斥を開始します。

決定的となった事件は、1646年1月3日の仁宗毒殺未遂事件です。仁宗の御床のアワビに毒が仕込まれていたことを姜嬪(カンビン)のしわざだと冤罪を掛けられたのです。

仁宗にしてみれば、昭顕世子を亡き者にした後、禍根を残さないために外戚の姜氏を根絶やしにする必要がありました。そしてその非道は自分の孫で昭顕世子の3人の息子たちにも向けられます。

通常ならば、世子(セジャ:세자)が亡くなった場合には、その息子の王孫が後継者になるのが筋なのですが、仁宗は自身の次男・鳳林大君(ポンリム テグン:봉림 대군)を世子としました。この事自体がすでに昭顕世子(ソヒョンセジャ)の血を残さない事を意味しています。もちろんこれには、政治闘争も絡んでおり、仁宗が寵愛した後宮・昭容趙氏(ソヨン チョシ:소용조씨)が暗躍していました。

結局、姜嬪(カンビン)は廃出された後の1646年3月に賜死することとなります。そして、彼女の母も含め4兄弟はことごとく死罪とされ家門は取り潰しとなります。

彼女の3人の息子たちは済州島へ流刑となり、その後移された江華島で上の二人は謎の死を遂げます。三男の石堅(ソッキョン:석견)이회(イ・フェ)だけはなんとか生き残り、後に免罪を受け慶安君(キョンアングン:경안군)として何とか生きながらえました。けれど、22歳の若さで亡くなっています。(このエピソードはドラマ チュノのストーリーとなっています)

世が世なら国母の地位が約束されており、3人の息子を生んだこともあって、王母となる可能性も非常に高かった姜嬪(カンビン)でしたが、歴史のいたずらと義父の猜疑心により、朝鮮でも有数の悲運の女性となってしまいました。

馬医ではほんのワンシーン でしか彼女の悲しみを描写していませんでしたが、あのワンシーンには上記のような悲運が隠されているのでした。

 

挿入曲 馬医OST  たった一つ(オジク タン ハナ:오직 단 하나) ソヒャン(소향)

 

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