馬医は賎人だったのか? 馬医11話
イ・ビョンフン監督が演出するチョ・スンウ(조승우)、イ・ヨウォン(이요원)主演韓国時代劇・歴史ドラマ馬医(マイ/ばい:마의)第11話の解説&感想(あらすじ・ネタバレ含む)です。
緊急避難として馬医でありながら同僚の体に針を打った白光炫(ペク・クァンヒョン:백광현)。一方で両班でありながら医女となっているチニョン。
後者は次回特集するとして、今回は馬医の帰属身分について述べていきます。
NHKのサイトに『馬の医者からやがて王の主治医になった男』とありますが、クァンヒョンは史実としてまさにその道を歩みました。実はこのことが今回の謎解きのキーワードとなります。
朝鮮王朝の身分は以下のように大きく分けて4つに分かれていました。
- 両班(ヤンバン:양반)
- 中人(チュンイン:중인)
- 常人(サンイン:상인)/常民(サンミン:상민)
- 賎人(チョンイン:천인)/賎民(チョンミン:천민)
※詳細は姉妹サイトの朝鮮王朝の身分制度を御覧ください。
ドラマ馬医での白光炫(ペク・グァンヒョン)の身分は4の賎人です。けれど、王朝初期ならともかく、この時代に賎人が御医にまで上りつめることはあり得ませんでした。
それでは、クァンヒョンはどの身分階級だったのでしょうか?
実は3の常人だったと言われています。馬医は獣と接する仕事であるため下層身分の仕事だと誤解されることが多いのですが、文献を見ると常人がこの仕事に従事していたことがわかっています。
また、朝鮮王朝の法典での身分は良賤制(ヤンチョンジェ:양천제)として、2つの階級にしか分かれていません。区切られるのは3と4の間で、1~4の各階層に線引がされているわけではないのです。
ただし、慣習的に4つの身分が固定化されており、実際にはその区切りを超えるのはほぼ不可能と言っていいほど非常に難しいものでした。
このように整理してみていくと、馬医であるクァンヒョンが御医にまで登ったことを無理なく説明することができます。また、医官自体がもともと第2階層の中人から登用されるため、常人が御医になったとしても理論上そこまで無理の無い出世でした。
もちろん、馬医から御医となるのはレアケースです。その点でを鑑みればクァンヒョンが卓越した能力を有した人物であることは疑いの余地がありません。
第12話に続く
挿入曲 馬医OST たった一つ(オジク タン ハナ:오직 단 하나) ソヒャン(소향)
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